DX導入による業務効率化|日本国内での導入事例5選
2021年9月7日DXの導入は、飛躍的に業務を効率化しますが、導入にかかるコスト・既存のシステムの更新・導入方法が分からないなど、導入に消極的な経営者が多いのも事実です。
しかし、DX化のメリットは大きく、特に少子高齢化を起因とした人材不足問題との相性は抜群です。
DXの導入事例を確認することで、導入によるメリットを認識するとともに、導入の緒である小さなIT技術についても解説します。
1.DX導入による業務効率化
DX化によって得られる最も体感しやすいメリットは業務の効率化です。
新しいシステムは作業の自動化、処理速度の向上が見込まれます。結果として人員の削減に繋がり、他の人員が不足している部署に回すことができます。
また、既存の大量のデータとAIをDXで結びつけることで、正確かつ迅速に分析が可能となります。分析結果を元に意思決定が行われるため、長期計画の策定がスピーディーになります。
業務効率化を中心に、DX化はケースごと、様々なメリットが生じます。日本におけるDXの事例を見てみましょう。
2.日本におけるDX導入事例
実際にDXを導入した日本企業の事例・メリットを確認しましょう。
(1)建設機械へのGPS導入 – 株式会社小松製作所
小松製作所の建設機械には現在、KOMTRAXというGPSが標準で搭載されています。
GPSの位置情報が小松製作所のセンターに送信される仕組みで、建設機械の現在地を常に把握することができます。
搭載を決めた当時は、建設機械の盗難が横行しており、GPSを取り付けることで盗難へ対策としていました。
副次的に、山中の現場で故障が発生した際、サービスマンが迅速に到着できるようにもなりました。
更に情報通信技術が発達した現在では、GPS以外のセンサーも取り付け可能になっています。
部品の交換時期を知らせたり、効率的な機械の動作方法を提供したり、多様なサービスの提供に役立っています。
また、位置情報・部品の作動状態・稼働時間など、ビッグデータの取得にも繋がり、この分析により長期的な経営判断を下す材料を作ることもできます。
建設機械・情報通信技術・ビッグデータのDX化事例といえるでしょう。
参考:建設機械へのGPS導入 – 株式会社小松製作所
https://ix-careercompass.jp/article/28/
(2) コロナ感染リスク低減に向けた共同開発DX事例 – グローブシップ株式会社様
ウィズコロナの時代を迎えた今、オフィスビルや商業施設等は感染リスク低減の実現が求められています。
ビルの総合管理やメンテナンス事業を営むグローブシップ株式会社様は、ビルオーナーや企業側の安全で安心なオフィスや施設の環境を提供したい、というニーズを受け、感染リスク低減や業務効率化を実現するスマート検温サービスを弊社IngDan Japanと共同開発しました。
スマート検温サービスは、感染リスク低減の観点からAIを活用した非接触オペレーションを確立しており、次のような導入効果を実現することでビルオーナーや企業側のニーズを形にしました。
■企業及び来訪者双方に対する感染リスクの低減
■検温作業及び管理に係るスマート化による生産性向上
■運用・調査・解析にかかるスタッフの負荷を軽減
日本国内でスマート検温サービスはすでに展開しており、安心安全なオフィスや施設の提供、運用の効率化をスピーディに実現した弊社とグローブシップ株式会社様との共同開発DX事例になります。
参考:共同開発事例
https://www.ingdanjapan.com/import/
(3) 全国散在顧客データの統合・利用 – リコージャパン株式会社
リコーグループでは、全国に販売・保守会社など、関連会社が多数存在していました。
業務改善のため、関連会社をリコージャパン1社への統合を図っていました。
しかし、関連会社ごとにシステムやデータのフォーマットが異なり、データとして活用できない状態でした。
そこで、NECのTalendシステムを用いてデータの統一化を図りました。
Talendは、複数の異なるフォーマットからデータを読み取って加工し、統一化されたデータとして納品するシステムです。
結果、膨大な顧客データの統一化に成功し、従来は企業ごとに行われていたニーズ分析を、企業の中の個人に対するニーズ分析が可能になり、営業活動に活かすことができています。
参考:全国散在顧客データの統合・利用 – リコージャパン株式会社:
https://jpn.nec.com/soft/talend/case/ricohjapan/index.html
(4)AIと建築の融合 – 大和ハウス工業株式会社
建設業は、作業員の高齢化や人手不足が深刻な業界です。
大和ハウス工業では、AIを用いて人手不足の解消を図っています。
具体的には、施工現場にカメラ・センサーを設置し、全国10箇所の事業所に置かれたスマートコントロールセンターに情報を発信、工程管理・安全管理を遠隔で実施する取り組みです。
工程管理では、工事の進捗状況をデータベース化し、適切な部材輸送により工程の最適化を図っています。また、作業員の入場実績と、体温・血圧をデータ化することで、作業員の安全管理も実施します。
実証実験段階ではありますが、作業工程の最適化や現場管理の労力軽減など、現場監督の作業効率3割向上を目指して運用中です。
(5)AI×雑誌×クラフトビール – NEC・小学館・コエドブルワリー
20~50代のコミュニケーション促進を目的に、AI・雑誌・クラフトビールの3者が協同した事例です。
小学館が雑誌データを提供し、NECがAIにより分析し世代ごとの色・香り・味のイメージを生成、コエドブルワリー(クラフトビール製造者)が生成イメージを具現化し製品化を行っています。
AIが過去の雑誌データから、その次代の色・香り・味を分析により抽出し、職人がイメージを具体化する、異なる業者間でのAI活用という新しいDXの形です。
参考:AI×雑誌×クラフトビール – NEC・小学館・コエドブルワリー
https://jpn.nec.com/ai/ai_craft/index.html
3.小さく導入する重要性
様々なDXの事例を確認しましたが、紹介した事例は大企業のものです。
中小企業など、DX化に多額の予算をかけられない場合でも、小さなIT活用を入り口にDX化を進める道があります。
例えば、広告を新聞からSNSに切り替えるなど、予算をかけずにIT技術を導入し、メリットやIT技術導入のメリットを掴んでから、全社的なDX化に取り組んでもよいでしょう。
また、DX化には事例研究が必要です。各社DXを実施する土壌が異なりますので、自社に適したDXは何か、多数の成功事例から学びをえることが重要です。
4.まとめ
日本のDXの事例を5つお伝えするとともに、DXによるメリット、小さく導入する重要性を解説しました。
DXに必要なのは、IT技術を取り入れることで、どのようにビジネスモデルが変革するのかを把握することです。そのため欠かせないことはDXについての事例研究です。
IngDanAcademyでは、深センを中心とした中国の先進的な事例を紹介しています。
先進的な事例からは、DX化した場合のメリット、課題双方を学ぶことができますので、DX化推進の際には利用を検討してはいかがでしょうか。
聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長