DXでペットも快適に「ペット用スマート家電・スマート健康管理」

2022年1月17日

中国ではペット市場が活況です。

ペット市場が賑わう要因は中国の生活水準の向上にあり、2020年時点で100万米ドル以上の資産を有する成人の数は前年に比べて5.1%も増加しています。
生活水準の向上がペット市場を含めた余暇への消費を支えているといえるでしょう。

ペット市場とともに変化を見せているのは「ペット用品市場」で、販売数は当然のことながら、今まで見たことがない種類の機器も出現しています。
新たなペット用品を開発しているのはアリババ、シャオミといった巨大なEC事業者やスマホメーカーです。
中国の巨大企業も参入する「中国ペット市場」をIT・DXの視点から見てみましょう。

1.拡大する中国のペット市場

2020年には中国のペット市場は5兆円にも上り、2021年以降も毎年10~20%の拡大傾向が続くとみられています。
2019年時点で犬5500万匹、猫4400万匹、合わせて約1億匹の中国における飼育数を見ると、日本の犬猫合わせて1800万匹の飼育数と比べ、いかに巨大な市場であることはお分かりいただけるでしょう。

飼い主の年齢が若いことも特徴的で、1980年代生まれが29.5%、1990年以降の生まれが45.2%となっています。
ペットを飼育する層が若いことから、中・長期的に市場が発展していくことが予想され、多くの企業が注目する市場といえるでしょう。

2020年には中国最大のペット病院グループである「New Ruipeng」が数百億円規模の資金調達を行い、その出資者にIT大手のテンセント社が名を連ねていることからも市場の将来が明るいことが伺えます。

参考:すでに5兆円超え「中国ペット市場」、アリババらテック大手もこぞって参入のワケ
https://www.sbbit.jp/article/cont1/65725

2.ペット用のスマート家電

中国ペット用品市場の規模・将来性を確認したところで、実際にどのような家電が販売されているのか見てみましょう。

スマートペット家電を開発するスタートアップ企業「Catlink」社は、猫用のスマートトイレを開発・販売しています。
猫がトイレに出入りしたことをセンサーで感知、排泄物を自動で掃除します。トイレでの滞在時間や体重などのデータも自動で取得し、多頭飼いの場合は体重によってデータを自動で振り分けられ、健康管理にも役立ちます。

日中は仕事で自宅を空けている、若者単身世帯が利用することが想定されます。
スマートフォンメーカーとして日本でも有名な「Xiaomi」もスマートペット用品を発売しています。
スマートフォンやタイマーを用いて自動給餌する犬・猫向けの製品で白を基調としたシンプルな製品です。

一般的にIoT給餌器は1~2万円ほどの価格で販売されることが多い中、Xiaomiの販売する「Furrytail Pet Smart Feeder」は日本円に換算して3,000円ほどの価格で話題を集めました。
Xiaomiは他にも自動給水器もラインナップしています。
給水・給餌・トイレが自動化され、スマートカメラや自動掃除機を自宅に導入していれば、帰宅が遅くなりがちな職種の人でもペットを飼育する選択肢が生まれそうです。

参考:中国の家電・ライフスタイルメーカーxiaomi(シャオミ)が犬猫用自動給餌器を販売
https://animalist.jp/2019/05/22/xiaomi/

3.ペットの健康管理

ペット用品のスマート化は、現在ヒト用に開発が進められている「ウェアラブル端末」にも及びます。
2019年時点でのペット用ウェアラブル端末市場は16億米ドルと推定されていて、2019年以降も年平均14.3%の成長が予測されています。
中国ではペット市場の成長とともに動物の健康に関する意識が高まることも予測され、犬や猫の健康管理を継続的に実施できるウェアラブル端末の登場が期待されます。

他にも、深センのObexx社が提供するロボットは、カメラで自宅のペットの様子を確認しながら、ロボットを操作して遠隔でおやつをあげたり、レーザーポインターで遊ばせたりすることができます。

単身世帯で長時間の勤務に従事する場合は、自宅のペットの様子が気になりますが、IT技術の導入でペットの様子を確認するとともに、コミュニケーションをとることも可能にしているのです。

4.まとめ

所得とともに生活水準の改善が行われる中国では、ペットによる「心の癒やし」を求める傾向がみられます。
ペットから癒やしを受ける一方で、健康管理をしっかりしたい、コミュニケーションを取りたいといった需要が発生しています。

また、需要に対応する商品を開発するだけのIT技術の進歩があり、今までにないペット用品が生み出されています。
ペットを樹脂製の箱の中に入れると自動で乾燥するドライヤーなど、実用的な製品から、変わった製品まで、多様な製品が開発され市場に供給されます。
多くの製品は受け入れられずに廃盤となることもありますが、多くのチャレンジから優れた製品が生み出されることは確かです。

先進的な製品が失敗した理由、成功した理由を研究することは、商品企画の第一歩です。
中国の最新の製品を研究して、売り上げの向上を目指しましょう。
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記事監修者
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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