今更聞けないビジネス用語【DX(デジタルトランスフォーメーション)】

2021年9月3日

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何でしょう。

新聞や雑誌でもDXについての記事が見られるようになりました。
しかし、DXの意味・意義を答えられる人は少ないでしょう。

DXは端的には、IT技術を複数活用することで、既存のシステムを効率的に運用する仕組みづくりです。日本でも海外でも、DXは様々なところでみられます。実際の事例と、DX化したことで改善したことを解説します。

1.DX【デジタルトランスフォーメーション】とは

DX【デジタルトランスフォーメーション】は、2004年、スウェーデン、ウメオ大学のエリック教授が提唱した「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにする」という概念です。

DX化は、FAXをメールに変える、紙をパソコンでの保存に変える、といった部分的なIT化とは異なります。
社員一人ずつパソコンが配布され、常にチャットツールで自宅でも外部でも繋がれる状態にあり、オフィスをオンライン上に移すような、ビジネスモデルを根本から変革するレベルの変化のことです。

日本、海外、それぞれDXを実施した事例がたくさんあります。事例を研究することで、DXにより何が変化し、どういったメリットが生じるのか確認しましょう。

2.海外におけるDX

最初に、海外におけるDXの事例を2つご紹介します。

1つめは、中国広州市にある、広州中薬学大学第一付属病院の例です。
この病院は、年間の診療患者数が280万人を超える超大型病院です。診療病棟も大規模になり、病院内での迷子や受診の順番間違いなどが多発していました。

患者も目的地に到達するのに苦労し、看護師も道案内に人員を割く必要がありました。
そこで導入したDXは、病院の診察情報とリンクしたスマートナビです。

スマートフォンにインストールすることで、病院を3次元的に表示、院内GPSで現在地を把握することができます。また、診察情報とリンクしているので、診察順、診察経路、受診結果、支払い、薬の受け取りまで、全ての情報を提供します。患者に合わせて、階段の無いルートを選択することも可能です。

本システムの導入で患者が迷うことなく目的地に向かえるようになりました。また、看護師も本来の業務に集中することができ、業務の効率化も図られています。

2つめの海外事例は、家具メーカー大手のIKEAの事例です。家具を購入する際に、大きさのイメージ、色のイメージがつかず、自宅に持ち帰れたらという要望を実現しています。

AR技術を導入し、スマートフォンカメラで表示した場所に、IKEAの家具を擬似的に置き、寸法や色味を確認することができます。
ARアプリはIKEAのオンラインサイトともリンクしており、顧客の満足度を高めるとともに、購買時の最終判断を後押しし販売実績を押し上げています。

3.日本におけるDX

日本のDX事例として紹介する1つめは、日立製作所の大みか事業所の例を挙げます。

日立製作所では、RFIDによる生産管理、工場シミュレーターによる納期管理、組立ナビゲーションシステムを用いての3D作業組立作業指示書の自動生成による生産準備効率化を実現しています。

RFIDとは、商品に貼られた電子タグを非接触式スキャナで読み取り、工程の進捗を管理するものです。本データと連携して、日程計画を立てるのに工場シミュレーターを運用しています。

複数の先進的なIT技術を用いて複合的に効率化を図る、DXの好事例といえるでしょう。

次に、中小企業向けオフィス用品販売大手のアスクル株式会社の事例を紹介します。
アスクル株式会社がコロナ禍で直面したのは、感染予防用品を大量購入され、医療・介護施設に納品できないという問題でした。

この問題に対して、アスクル株式会社はビッグデータ・自社在庫管理システム・AI解析を用いて対応しました。具体的には、検索履歴や購入履歴などから得られる顧客データと自社在庫管理システムを連携し、更にAIによる解析を行い、病院や介護施設ごとに、納品可能な商品の種類・数量をメールにて通知するシステムです。

本システムの導入で、医療・介護施設は、発注可能な物品の種類・数量を把握でき、転売や備蓄目的の顧客は購入することができなくなりました。結果、コロナ禍で本当に必要な場所に、最適な数量を納品することができました。

参考:アスクル株式会社「News Release2021.6.7」
https://pdf.irpocket.com/C0032/M6bm/GJG2/WprH.pdf

4.まとめ

DX【トランスフォーメーション】は、先端的な技術を複合的に活用することで問題の解決を目指すものです。 
日本でも海外でも、様々な事例をみることができます。DX化はビジネスモデルを根本的に変える力を潜在しています。

大規模なものほどコストも大きくなるので、目的を定め、適切な手法を用いる必要があります。このため、多くの最新事例を確認する必要があります。

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著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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