菜鳥AI音声アシスタント—宅配サービスに注力

2020年9月29日

ネット通販の急成長に伴い、物流業界もAI、ビッグデータなどの技術を活用することでますます成熟してきており、宅配サービスに利便性をもたらしています。最近、筆者はある「特別」な電話に出ました。

「今日の午後、XXX(配達先住所)のあなた宛てに宅配便の荷物をお届けする予定ですが、ご都合はよろしいですか?」

「じゃあ隣のコンビニに置いてください。いやいや、うちの玄関に置いといて」

「はい、玄関ですか?」

「……(沈黙)」

「もしもし、どうされましたか?玄関に置きますか?」

「はい、お願いします。」

「承知しました。」

聞いてみるとただ普通の配達関係の通話なのですが、実に電話の向こうは本物の配達員ではなくて、人間に似せた「菜鳥(アリババ系物流プラットフォーム)AI音声アシスタント」であります。わずかな1分半の通話を体験したら、このロボットの高い成熟度に驚きました。例えば、通話の中で筆者に2回ぐらいに話の腰を折られたり、筆者の考えが途中で変わったり、筆者に沈黙され反応がなかったり、といった状況の中でも柔軟に対応し、配達先の住所変更をうまく進めました。

利便性や面白さに溢れるこのAI音声アシスタントは、アリババの科学研究部門であるアリババ達摩院と知能サービス事業部の「阿里小蜜」チームによって、方言の識別、利用シーンに合わせる音声合成、全二重通信などさまざまな先端音声技術が提供されています。電話に出た顧客はまるで本物の人間と同じだと驚くことが多いです。

菜鳥物流のデータによると、配達員は毎日一人あたり約150~200個の荷物を配達するとのことで、毎回通話時間は30秒~1分だと計算すると毎日一人当たりは3時間の通話時間がかかります。2019年、AI音声アシスタントは自動的に1億回で約70万時間の通話を完了させました。宅配分野ではAI音声アシスタントの手伝いで配達員の時間は大幅に短縮された一方、プライバシー保護策としても利用客によりよい物流体験を提供しております。とりわけ、スマホに不慣れな年寄りに対して、配達通知メッセージの受信と返信操作ができなくても、AI音声アシスタントとの通話でごデマンドを伝えたら完了です。

また、システムはクラウド化されたことで、菜鳥ネットワークの中の情報とは繋がっているわけです。それゆえ、AI音声アシスタントは、明日の宅配便はあるか、どの物流会社によって配達されているかなど普通の配達員の対応できない事も手軽に検索できます。現在、菜鳥AI音声アシスタントはZTO(中通快递)など物流大手より展開されていて、全国各地でどんどん普及していく状況です。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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