深セン スポンジシティへの変身

2020年9月1日

2016年、深センは国家レベルのスポンジシティ建設実験都市として、全面的にスポンジシティ作りをスタートしました。この数年間の努力にわたり、連日の集中豪雨の日でも、道路に水がたまったり、渋滞になったりする光景はめったに見られなくなるほど、著しい効果が挙げられました。

 

「スポンジシティ」とは?

スポンジ・シティとは、街全体で雨水を吸収する都市設計のコンセプトです。水害防止や水資源の確保を目指し、政府と企業とが手を組んで都市建設を企画したり、デジタル技術で革新的なインフラを建設したりすることで、町をスポンジのように水環境の変化や自然災害に対応できるようにさせます。例えば、ビルの屋上緑化や貯水タンクの設置、古い団地の建て替えやインターチェンジの改造などがあります。

 

テンセントのCityBaseに支えられるスポンジシティ

深センでのスポンジ都市建設は改革とイノベーションをコアとし、関連施設は隅々まで整備されております。例えば、テンセントの本社ビルの前にセラミックスで作られた顆粒状のスーパースポンジ材料が舗装され、豪雨の場合でも、ビル前の広場には水だまりにならなく、雨がやんだら、地面はすぐ乾きます。

さらに、雨量計や水位計などIoT設備を取り付けることで、「スポンジ」の吸収力が正常に動いているか自動的に判断できます。もし異常が発生してしまった場合、システムがタイムリーに「交換」もしくは「修理」のアラート通知が出される仕組みで、「スポンジ」 の質を守ります。

また、テンセント本社ビルの38階において、レインガーデンも作られました。ガーデンの底には雨水収集システムが設置され、雨水の貯蔵や排水を行い、地下パイプの水量を動的に調節できるという仕組みとなります。それによって、たまった雨水は貯蔵され、晴れの日に植物に水やりすることが現実になりました。

このような技術はテンセントのCityBaseをベースに構築され、深センの土地、建物、河川、道路、橋、パイプなど地上と地下のインフラの全面的なデジタル化を実現し、関連部門は気象情報、都市パイプ敷き設、浸透性舗装など有効データを収集することで、都市モニタースポンジのデジタルモデルを構築してきました。同モデルはクラウドAI分析によって各道路の水たまりの量を予測・判断し、関連部門はそれらのデータに基づいて透水性敷石舗装、雨水収集知能システム、路面排水設備の増設を利用して道路陥没の防止に取り込んでいます。

そのほかに、百仕達小学校の透水運動場、甲子塘コミュニティの分流式下水道などの活用事例もありますが、パブリックスペースの品質を向上させる一方、住民の幸福実感も向上させます。

現在、深センでは、159本の水質汚濁の河川は徹底的に整備され、463都市における水たまりの多いところは全面的に整頓されました。そして、約210平方メートルのエリアはスポンジシティ建設の基準に達成し、1年前倒しでの目標を達成しました。このような実績を持って、最近に行われた国家レベルのスポンジシティ建設実験都市評価活動において、深セン市は1位となりました。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

サイト内検索