深セン空港 少遅延化のスマート空港を実現

2020年8月13日

2019年、深セン空港での離着陸便数は合計37.02万便に達し、前年比4.0%増となりました。便数の増加に対し、定刻率は87.8%に達し、近年最高水準となりました。グローバル大型空港において、定時出発率は第六位となります。遅延率を低下させるため、「コーポレート・運行控制」及び「厳格な管理」が実施される一方、デジタル改革によるスマート運行が実現され、効率の向上に役立っています。

この数年で深圳空港はスマート化の建築を加速させ、特に国内初のエプロンのスマート配分を実現しました。具体的にはボーディングブリッジの利用率を向上させ、フライトの運行効率を上げることに成功しました。かつての深圳空港では、ボーディングブリッジが使えるスポットは全体の四分の一しかなく、多くの旅客はバスを利用してタラップで飛行機に搭乗せざるをえませんでした。この課題を解決するため、ハードウェアの改善に加え、エプロンのスマート配分という新しいソリューションが打ち出されました。当システムはAIアルゴリズムを使うことで、自動的かつインテリジェントにエプロンを指定することができます。深セン空港からの出発便は毎日千便余りもあり、人間によるエプロン配分には4時間もかかっていたそうです。それゆえ、ボーディングブリッジの使えるスポットの数を抑えるしかなく、結果、ボーディングブリッジの利用率が低くなっていました。それに対し、現在の深セン空港はインテリジェントシステムを利用することで、スポットの配分はたったの1分間で済ませ、さらに10分間で更新することが可能になりました。その結果、ボーディングブリッジの利用率は10%上昇し、年間400万人の旅客にバスに乗らず、ボーディングブリッジから搭乗可能という利便性をもたらしてきました。

また、深セン空港はグランドサービスシステム、重要情報自動収集システム、A-CDM(Airport Collaborative Decision Making、空港協調的意思決定)、統合システムなどの連動により、定刻率のさらなる向上を実現しました。IoT、AI、画像認識技術の活用により、フライトの全プロセスをモニターすることで、迅速にアクシデントを判明可能になり、定刻率の向上にも繋がります。

スマート空港を率先して展開した深セン空港は、「デジタル化による最高体験空港の構築」を目標として挙げて、「長期的な計画、長期的な建設、段階ごとに実施」という原則に基づいて、先進的なICTインフラを配置し、リソース、データ及びアプリケーションそれぞれの統合を実現し、「安全システム」、「運行管制システム」、「サービスシステム」、「管理システム」といった4つの業務体系を構築しました。2017年、深セン空港はIATA(国際航空運送協会)の未来空港プロジェクトに加入することをきっかけに、HUAWEIと連携して、全面的なデジタルトランスフォーメーションをスタートし、2019年まで既に合計11億元を投資し、およそ100にも及ぶスマートプロジェクトを二段階に分けて展開してきました。それによって、空港における「1つの安全網」、「1つの運行管理図」、「全面的なサービス」という新モデルが形成され、2020年末にすべてのプロジェクトは実行できる見込みです。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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