Wechat+顔認証だけで、広東•香港•マカオ間の通行が自由に

2020年7月7日

先日、「グレーターベイエリアフィンテックフォーラム」が香港で開催され、そこで、テンセントと香港科技園(HKSTP)が提携し、「テンセントE証通」を導入されることが発表されました。

「テンセントE証通」とは、グレーターベイエリアの住民を対象とする越境の為のデジタル身元証明書です。従来は、広東の住民は香港やマカオに行くため、パスポートではなく、通行証という実物のカードが必要でしたが、「テンセントE証通」を利用する場合、スマホ一台だけで、迅速に広東・香港間、または広東・マカオ間の通行が可能になります。

三地域間で「Three In One」のトライアル

現時点では、テンセントは広東·香港·マカオ間で「Three In One」のトライアルを行っております。当サービスは、身分証明書、回郷証、通行証など複数のカードを「テンセントE証通」というWechatのミニプログラムに集中することで、一台のスマホで自由な通行を実現させ、グレーターベイエリアの住民を対象とし、オンラインでの身元認証が可能になります。具体的には「テンセントE証通」は身分証明書、回郷証、通行証という3種類のカードのデジタル化を実現しました。

 

「テンセントE証通」の使用方法は?

目下、「テンセントE証通」ミニプログラムは内部テスト及び宣伝段階ですので、Wechatでの検索はまだできませんが、QRコードを読み取ることで、申請は可能ですし、その流れは非常に簡単です。ここで、「通行証」を例として、説明します。

Step1、Wechatを立ち上げ、QRコードを読み取ることで、ミニプログラムに入ります。「すぐ申し込み」をクリックしてみたら、身元確認するために、お名前、身分証明書番号という2つの情報を入力するのが必須です。

Step2、「顔認証」を受ける。ミニプログラムが自動的にスマホのカメラを起動させ、ユーザーは自分の正面顔写真を撮影したら、3秒内に自動顔認証が行われて本人確認が完了します。

Step3、身元証明や顔認証を終えると、デジタル身分証明書が生成されます。それと同時に、デジタル身分証明書のQRコードが画面に表示され、それをイミグレで読み取らせると通行が可能になります。

 

今後、シナリオをさらに拡大していく

「テンセントE証通」は実物のカードの代わりになるため、大陸と香港・マカオ間のデータや端末と連動しないと実現できないので、目下、広東省だけを大陸側の対象とされ、大陸全体で展開するには、もう少し時間がかかりそうです。ただし、テンセント社によりますと、6月末から、「テンセントE証通」は大陸のホテルやイミグレなどで先行展開し、今後、越境の新規口座開設やホテルチェックインなど、徐々に他のサービスにも広げてゆく計画だそうです。このようなサービスの拡張は新型コロナウィルス対策にも大いに役立つと考えられています。

 

技術の急速発展に伴い、スマホの機能は日々増えてきて、チャット及びモバイル決済のみならず、デジタル身分証明書、デジタル社会保障カード、デジタル出生証明書など様々な証明書の電子化もできるようになっています。Wechatの機能がますます充実されることより、一台のスマホだけでどこでも行ける、何でもできるという時代は近いうちに実現できるのではないかと考えられています。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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