認知症「徘徊」に顔認証技術が貢献

2020年7月3日

ビッグデータ、クラウドコンピューティングなど先進技術のさらなる研究開発によって、顔認証の活用は中国全土で広がり、日常生活に利用されてきました。モバイル決済や乗車から戸籍変更、不動産取引まで様々な分野で生かされ、消費者に利便性・快適性をもたらすことができました。また、経済面での利用に加えて、安全保障面においても、多大な貢献を果たしました。

公開資料によると、中国では、毎日およそ1371名の高齢者が認知症などで行方不明になっています。顔認証技術の活用によって、発見される確率や効率が大きく向上してきました。特に中国で広まりつつあるスマートシティでは、その応用が広く利用されるようになってきました。今回は下記の事例を通じて、公安部門での事件解決過程をご紹介いたします。

事例1、身分証明書の写真 + 天網システム(監視カメラシステム)で捉られた画像

先日、杭州市江幹区にて、認知症を抱えているお年寄りが行方不明になったという通報がご家族から警察署へ届きました。警察は、身分証明書の番号を身分証明書システムに入力し、対象者の写真を検索します。そして、お年寄りの行方不明の時間や場所などに合わせて、「中国天網」という広範囲の監視カメラシステムを利用し、リアルタイムにキャプチャーされた画像と検索された写真との照合を行い、一致している写真、または一番似ている顔画像を見つけ、行方を追跡できるようになりました。その結果、警察署は通報受理してからわずか5分間内でお年寄りの行方が分かり、無事保護されました。

事例2、リアルタイムに取った写真で身元を特定

重慶市微電子産業キャンパスの近くに、困っている様子の高齢者が見つかりました。ただし、本人は認知症を患われたことで、自分の身元情報などを警察にうまく伝えられなかったです。安全確保した上で、素早くご家族のところに送り返すため、警察は当該者の顔写真を撮って、データベースにアップロードし、身分証明書システム中の写真と照合して、身元情報が確認され、帰り道も見つかりました。

中国では、顔認証技術が認知症で徘徊する高齢者探しの案件で、数多く利用され、実績を積み上げており、技術の成熟度はかなり高いと言えます。顔認証技術は絶えず進化しており、様々な難題を乗り越え、人の救助及び経済分野において、さらなる貢献ができると考えられています。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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