DX化を考えているなら今すぐ中国に現地視察に行くべき3つの理由

2021年12月6日

ITを用いた事業の変革に大きな力を持つ「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、社内で検討を進める中で多くの事例研究を行なうことでしょう。
DXは2004年にスウェーデンの大学教授が発表した論文の中で語られる考え方で、すでに17年が経過、多くの事例・ノウハウが蓄積されています。
その中には成功した事例も失敗した事例もあり、これからDXを検討する企業はこういった先進事例に学ぶべきでしょう。

また、先進事例の研究をするなら、実際にDXの事例を体感することをおすすめします。
DXの恩恵を肌で感じることで、重要性の認識や、自社への適用を考えることができるからです。
DXを現地で視察する場合、中国を選択することをおすすめします。本記事では中国を勧める理由を3つ解説しています。

1.中国と日本、広がるデジタル格差

中国では都市から農村に至るまで、特異な速度でデジタル化が進行しています。
具体的には「インターネットの高速化・通信料金の引き下げ」の2点です。
すでに農村部と都市部で同一の固定ブロードバンドが敷設され、「同一ネットワーク・同一速度」を実現したとされています。
さらに無線通信においても4G基地局は世界の半分が中国のもので、5G基地局も100万箇所に迫る勢いで敷設が進んでいます。
結果として10億人を超えるユーザーが高速回線でインターネットに接続可能となり、ITテクノロジーの事業活動を後押ししています。

一方、日本では2023年度末に全国で28万局の5G基地局整備を目標としており、高速無線通信の普及において、中国と格差が生じることが予想されます。
新型コロナウイルスへの対応についても、中国では地域の感染者マップ・感染者が利用した公共交通機関の周知・接触者の追跡システム・デジタル証明書発行など、複数のITを用いた対策に成功しています。

日本でもコロナウイルス接触確認アプリが開発されましたが、アプリを入手する人自体が少なく、不具合が多発するなど有効な対策とはなりませんでした。
アフターコロナの経済活性化に効果を発揮するとされるデジタル証明書も発行が検討されている段階で、実際に発行が開始され経済の活性化に寄与している中国に比べて遅れが生じています。

国家間でデジタル格差が生じているのに危機感を感じられないのは、実際に現地に足を踏み入れていないためです。デジタル化が進む中国へ行き、日本との差を確認し、自社のDX化を進める原動力にしましょう。

参考:中国のインターネット網は世界最大 都市と農村の情報格差も解消
https://www.afpbb.com/articles/-/3346997

2.見習うべきビジネスモデルが数多く存在

中国、特に深センや上海といったDXが進行する都市では普段の生活の中にITテクノロジーが浸透しています。
実際に体感できるDX事例を紹介します。

(1)キャッシュレス
中国ではキャッシュレス決済が一般化しており、デパートなどの大きな店舗に加えて、街角の小さな露店に至るまでQRコード決済での支払が可能です。
一部店舗では現金の取り扱いを廃止し、電子決済しか取り扱わないほどです。
深センでは、電子決済の方法もQRコード決済に加えて顔認証決済も一般化しており、複数のITテクノロジーが連携したDXを感じることができます。

(2)自動運転
上海市や深セン市ではAutoX社が自動運転タクシーの実用化を達成しています。
対象とする地図アプリからタクシーを呼ぶことができ、完全自動運転で運転手が不在な中で目的地までたどり着く体験ができます。

(3)遠隔医療
2020年2月に上海市では公立病院初のオンライン専門病院が開業しています。
病院では24時間いつでも専門医の診察が可能で、処方薬は早ければ当日中に自宅に配送するサービスがあります。
自宅にいながら問診・薬の処方を受けることが可能なので、体調不良の度合いによってオンライン診療と病院での診療を使い分けることができる便利なサービスです。

以上のように、IT技術を複数組み合わせたDXの事例は中国の生活にすでに深く浸透しています。実際に中国に現地視察に赴き体験することで、よりDXの重要性に気付くことができるでしょう。

3.日本と中国の距離は近い

距離が近いこともDXの事例研究のうえで大事な要素です。
IT関連技術は進化が早く、1年経過すると起業家の間で交わされる話題が変化します。
現地視察を行なうのも1回限りでなく、異なる時期・都市・企業を訪問することをおすすめします。
日本と研究対象とする都市との距離が近ければ、頻繁に現地視察を行なうことができます。

例えば本記事で事例として紹介した深センは、香港と隣接する都市です。
日本から香港までは飛行機で4時間30分ほどで、さらに深センまでは1時間程度で到着するので、半日程度で研修先に到着することができます。
アクセスのしやすさから、DXの事例に触れる機会が増えるでしょう。

4.まとめ

DXをはじめとするIT技術は日本よりも海外が先行する事例が多いです。
ただし、後を追うメリットも存在し、先行するDXの事例から成功のノウハウ・失敗の反省点を学ぶことができます。
現代ではインターネットを経由して様々な事例にアクセスすることができますが、実際に現地で事例を体感することに勝る学びはありません。

DX事例の現地視察先を検討する場合、複数回視察に行くことを前提に行き先を決定すると、異なる時間軸でDXを導入した企業にどんな変化が生じるかを確認でき、有効なノウハウになり得ます。
何度も足を運ぶことを考慮し、費用・時間的に効率的でDX事例が多くみられる中国はひとつの選択肢でしょう。
自社にも応用できるDXの事例を探しに中国へ足を運んではいかがでしょうか。

記事監修者
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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