アリババx浙江大学、世界初にキャンパスに配送ロボットを導入

2020年11月13日

タオバオ・天猫(Tmall)のビッグセールイベント「双11(ダブルイレブン)」にあたり、アリババは浙江大学と連携し、世界初に配送ロボットをキャンパスに導入した。「小蛮驢(シャオマンリュ)」をはじめ、浙江大学紫金港キャンパスに物流ロボットが22台導入され、浙江大学の菜鳥網絡(Cainiao)の宅配サービスを担当する。これは小蛮驢ロボットの初勤務であり、これほどの大規模な高機能のエンドユーザー向けの無人配送サービスも業界初の試みである。

小蛮驢はアリババが開発したロボットであり、達摩院の人工知能(AI)と自動運転技術を集積し、人間並みの認知力を持ちながら、脳の緊急反応速度は人間の7倍もある。

「小蛮驢」は2100*900*1200ミリ(レーザーラダーを加えて高さ1445ミリになる)、最高速度は20キロ/1時間に設定される。「小蛮驢」は引き抜き式の充電電池を採用し、4kWhの充電に続航距離102キロになるという。雷、高温、雨、雪、さらには車庫やトンネルなどの悪い環境でも性能に影響が出ない。

紹介によると、「小蛮驢」は人間と同様な認知決断力が備える。混雑な環境でも、自らルートを決めて走行できるし、障害物回避、スムーズにカーブ、急ブレーキ、車線変更、バックなどの状況も処理でき、自動運転率は99.9999%という。「小蛮驢」は数百人の歩行者を識別でき、0.01秒のみで車両の行動の意図を識別できる。危険な状況に急ブレーキが必要となる場合、0.1秒で意思決定、計画、制御指令を行う。

浙江大学の紫金港キャンパスに学生、教務員約7万人が在籍している。ロボット部隊は毎日の朝9時から夜9時まで作業していて、荷物を菜鳥網絡から27棟の寮に仕分けて配送する。人、車、自転車などからなる混雑な環境下に、ロボットは走行の安全性を確保した上で、配送効率も確保する。

11月11日時点までに、「小蛮驢」をはじめ、22個の配送ロボットからなるロボット配送部隊は11日内に3万件の荷物を配達した。従来、菜鳥網絡まで歩行、列並び、荷物探しなどの荷物ピックアップ作業には、1人当たり20分の時間がかかってきたが、配送ロボット導入により学生さんに約1万時間の荷物ピックアップ時間を節約した。しかも、配達率の正確率は常に97%以上に達した。

現場運営を担当するアリババ達摩院のエンジニアによると、ロボットが登場してから、毎日興味が持つ学生さんに見物され、みんなから新しい技術を体験したいとの声が上がってきた。

「最後の1キロの配送」において、科学技術の活用することは、Eコーマス業者や物流業者の共同認識となり、それこそ人件費軽減の最適な方法と考えられている。そのため、「小蛮驢」配送ロボットは配達員とともに共存し、消費者に「ヒト・マシン協力」の最大な便利さを提供する。「ヒト・マシン協力」とは、ロボットが配送できるエリアは基本的に配達員が要らない、届けないエリアだけやはり配達員が主役となると解釈されている。

「最後の1キロの配送」は既存のすべての配達員の主戦場であり、スピードの速さは彼らの業績を左右する。配達員はスピードを重視するが、「小蛮驢」もよりスピーディーである。その視点からみれば、科学技術を利用して最後の1キロを加速させるのは「小蛮驢」配送ロボットの最大の強みとなる。

物流業界にとって、「小蛮驢」などの配送ロボットは技術レベルの向上だけではなく、省力化コスト軽減に繋ぐ。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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