電気自動車の高速充電:15分で充電!?

2020年5月26日

5月12日、中国電力企業連合会の電気自動車および儲能分会は、“新インフラ 充電パネル活動”をテーマに北京で記者会見を開催し、2025年に向けた、充電インフラの8つの主要なトレンドを発表しました。

 

中国の技術と社会領域では、新しいインフラ建設(略称:新型インフラ)がもっとも注目されています。 新型インフラとは、主に5G基地局建設、UHV(超々高電圧)、都市間高速鉄道および都市鉄道輸送、新エネルギー車(Electlic Vehicle)の充電スポット、ビッグデータセンター、AI、産業用インターネット、の7つの主要な領域を指してます。それらは、新たな経済成長のための原動力となっています。

 

充電インフラの不足は、EV車の急速な展開に対する最大の課題であり、新型インフラはその欠点を補うために、EV車の充電スポットを分離から相互接続に移行することで解決することを想定しています。新型インフラの“七領域の一つ”であるEV車の充電スポットは、車産業の発展にとって重要な要素となります。

 

トレンド1:充電は給油体験と近い

EV車の充電電圧を500Vから800Vにアップグレードし、シングルガンの充電電力を60KWから350KWに変更。これに耐える装置を提供することで、充電時間は現在の約1時間から10〜15分程度に短縮されます。これによりガソリン車のガソリン補給体験と近いものになります。

 

トレンド2:充電施設の可用性が向上

充電インフラは、可用性が高く、“高信頼性”と“高品質”の特性を備え、高温、湿度、塩水噴霧、ほこりなどの複雑と過酷な動作環境に耐えられ、特に充電ガン、充電モジュールなどのコアコンポーネントの品質が高くなければなりません。 充電設備自体は、進化の不可能性に起因する設備の交換を回避するために、今後10年間でより大きな充電電力とより高い充電電圧の開発傾向に支えられなければなりません。

 

トレンド3:より省エネ、より自然に優しい

2025年までに、中国の電気自動車は3、000万台に達し、年間の充電容量は2、500億kWh(キロワット・ アワー)を超えると推定されています。効率が3ポイント改善すると、85億kWh節約され、600万トンの二酸化炭素排出量が削減され、電気代は60億元以上節約されます。 二輪駆動技術と発電所の設計により、充電インフラストラクチャのエネルギー効率が向上し、環境に優しくなります。テクニカルな面には、SST(ソリッドステートトランス)、新トポロジ、新デバイス、新アルゴリズムの使用が含まれます。発電所の設計上は太陽光発電、エネルギー貯蔵のローカル接続と統合スケジューリングをサポートできる必要があります。

 

トレンド4:コアコンポーネント(Core components)の標準化

現在、充電インフラストラクチャにはさまざまな形式があり、多メーカー、多製品モデル、多コンポーネントサイズという特性があります。 充電モジュールに関する限り、異なるメーカーのモデルとサイズが異なり、互換性がありません。多くの充電スポットは、スペアパーツがない/スペアパーツが高すぎる/メーカーのメンテナンス対応が出来ないため、設備そのものを交換せざるを得ず、投資者に大きな損失をもたらします。 従って、標準化、置き換え、および進化するために、共通の脆弱なコアコンポーネントに関する標準化の作業を引き続き推進しなければなりません。

 

トレンド5:どこでも、環境にやさしい

新エネルギー車の普及により、充電インフラはユビキタスになり、ショッピングモール、オフィスエリア、住宅地の近くにカバーされるため、環境にやさしいものである必要があります。 第一に低騒音を実現するため、例えばエアコンの室外機以下の騒音にする必要があります。第二に電気機器の人体への影響を減らすために、低電磁放射(Low electromagnetic radiation)を行う必要があります。 第三に“グリッドフレンドリー”であるためには、充電はグリッド(GRID)への悪影響を減らす必要があります。 これら3つの“親しいやさしさ”を実現するためには、一方では新テクノロジーを採用し、システムエンジニアリング(System engineering)能力を向上させる必要があります。また、基準を引き上げて厳密に実装する必要があります。

 

トレンド6:インテリジェント(Intelligent)な設備

モノのインターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、AI、他のテクノロジーは、「充電体験、運用、保守、ネットワークコラボレーション」などの観点から充電インフラストラクチャの体験を変化させ、充電インフラストラクチャをデジタルでインテリジェントに実現します。「充電設備は安全、効率的、セルフサービスが出来るように、充電ネットワークのインテリジェントなスケジューリング」を実現させます。

 

トレンド7:より厳格なセキュリティと信頼感およびプライバシー保護

充電インフラストラクチャは、電気機器とネットワーク機器であり、電力網によって、直接送信および管理されます。高信頼性、高機器セキュリティ、高ネットワークセキュリティ、高可用性、高耐性、および厳格なプライバシーが必要です。 個人情報保護法に基づいて、人と新エネルギー車のプライバシーデータを保護しながら、利用します。この業界の長期的かつ健全な発展するには、充電インフラストラクチャでデジタル信頼感達成、社会意識、業界標準、技術要件及び実現など、多方面において共同努力しなければなりません。

 

トレンド8:充電インフラは、マルチネットワーク統合ノードとエネルギーインターネットの入り口

「グリッド、充電ネットワーク、自動車のインターネット」等、多くのネットワークはすべて充電インフラストラクチャの1つのノードに集中しています。 「グリッド」に関しては、地方配電網が太陽光発電とエネルギー貯蔵の調整を行い、VPP(バーチャル・パワー・プラント)仮想発電所の使用が行われ、電力網の周波数調整とピーク調整をサポートする必要があります。 充電ネットワークに関しては、整然とした充電をサポートし、ブロックチェーンおよびほかのテクノロジーを使用して、市場取引をサポートします。 「インターネット・オブ・ビークルズでは、人、車、充電スポットの連携」を実現し、クラウドBMS(Building Management System)管理を実現します。 今後数年間で、充電インフラストラクチャは「エネルギーインターネット」の主要なエントリポイントになります。電力インフラストラクチャ全体の投資とインターネットインフラストラクチャにおける充電インフラストラクチャの統合をフルに発揮し、さまざまな新しいテクノロジーと新しいモデルを実装し、「真のグリーンエネルギー社会」を実現します。

著者プロフィール
数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、IngDanアカデミー編集長として、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新DX情報の発信を行っています。

聂 宏静(Nie Hongjing)
IngDanアカデミー編集長

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